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コラム

新入社員研修の目的は?達成の秘訣と手法、企画・実施の注意点を解説

新入社員研修は、新しく採用した人材に対して、最初に行う研修です。企業の理念や方針を伝えつつ、業務への理解を深めてもらい、現場で必要なスキルを習得させる、大切な時間として、多くの企業が実施しています。

ただ、「慣例的に実施しており、成果が見えにくい」「何を目指すべきか、不明瞭」と悩む人事担当者も少なくないようです。

今回は、新入社員研修はなぜ、実施するべきなのか。その目的を、詳しく解説します。あわせて、目的を達成できる新入社員研修の秘訣や具体的な手法、注意点もまとめました。

新入社員研修のあり方を見直し、いま求められる研修を再構築するヒントが満載です。最後までご覧いただき、自社の新入社員研修に役立ててください。

【全企業共通】新入社員研修の目的5つ

入社したばかりの社員を対象に行う新入社員研修には、受講者が自社で活躍する土台をつくる意義があります。実り多き研修にするためには、目的の明確化が欠かせません。

どの企業の新入社員研修にも共通する新入社員研修の目的を、5つ解説します。

社会人になる意識改革

新入社員研修のうち、社会人になったばかりの新卒者を対象とした研修には、学生から社会人への意識改革という目的があります。

学生と社会人の違いを2つに集約すると、立場と責任といえるでしょう。立場と責任の違いを伝え、理解してもらうことが、新入社員研修の目的の1つです。

立場の違い

学生は、学費や教材費を学校に支払い知識を与えてもらう、いわゆる「客側」の立場にいます。一方で社会人は、対価をもらって製品やサービスを提供する立場です。学生までに身につけた知識・スキルを生かし、社会に貢献することが求められます。

責任の違い

学生の期間は、責任を持つ範囲は自分と身の回りに限定されます。問題が起きた場合の責任を保護者が負うケースも多く、本人に経済的・社会的責任が求められることは、多くありません。

社会人は、「社会の一員」です。企業に属して行動した結果が、企業全体に影響を及ぼす場合もあり、軽率な行動は慎むという意識改革が必要です。

企業理念・事業内容の理解

新卒者・中途採用者ともに重要になる研修の目的が、企業理念・事業内容の理解です。

企業理念とは、企業の存在意義と言い換えられます。何を目指し、どのような社会貢献を創るのかといった、企業の価値観や方向性を言語化したものです。

全ての企業活動は、理念に則り行われます。理念を理解していなければ、企業の方針に沿った業務ができず、貢献も創りだせないでしょう。

当然、事業内容も理念から導かれます。理念と共に事業内容も研修のテーマとすることで、新入社員研修の参加者に共通の価値観を養成できます。

社内コミュニケーションの開始

新入社員研修では、人事担当をはじめ、各部門の責任者や先輩社員などが登場するケースもあるでしょう。新入社員研修は新しく仲間になった人材と、すでに活躍中の社員が顔を合わせる機会となり、コミュニケーション開始のきっかけにできるとの目的もあります。

また、新入社員研修に参加するメンバーは、いわゆる「同期」となります。同期には横の連帯感が生まれやすく、研修後も悩みを相談したり、切磋琢磨したりと、良好な人間関係の基板となり得ます。

昨今、社内コミュニケーションの重要性が見直されています。新入社員研修にコミュニケーション活性化という目的があることを今一度踏まえ、コミュニケーションができるようなプログラムの導入もおすすめです。

ビジネスマナー、基本的なスキルの習得

業務上で必要となるビジネスマナーや基本的スキルの習得も、新入社員研修の大切な役割です。新卒者に向けては電話の取り方や名刺交換の仕方、挨拶のコツなども、指導する必要があります。

中途入社の社員にも、この項目は必要です。自社で業務を遂行するにあたって必要なスキルを、まとめて伝えられる数少ない機会と考えてください。

ビジネスマナーと基本的スキルを習得していれば、現場で即戦力となることも期待できます。自社に必要な項目を精査し、研修プログラムに組み込んでいきましょう。

働く上で重要な内容の理解浸透

働く上で、知っておくべき重要事項も、新入社員研修で明確に伝えます。たとえば、以下のような内容です。

  • コンプライアンス
  • 就業規則
  • ハラスメント、メンタルヘルスケアなどについて

コンプライアンス(法令順守)は、主観や価値観によって判断が分かれるポイントもあります。企業としての考え方を明瞭な言語に落とし込み、伝えてください。

就業規則、ハラスメント、メンタルヘルスケアの体制についても、新入社員研修で伝えておきましょう。企業の考えや情報を開示し、社員の不安を和らげて、安心して働き始められる土壌を整える意識で行います。

目的を達成する新入社員研修を構成するポイント5つ

新入社員研修は、受けた社員に「自社で働く上で必要な知識・スキルを習得させ、現場に引き渡す」役割を担います。目的を達成し、実施した価値がある新入社員研修にするためには、本章で解説する5つのポイントを意識してみてください。

新卒と中途は分けて考える

新入社員研修のプログラムは、新卒者と中途採用者と分けて考えるのが原則です。

新卒者には、文字通りイチからの研修が必要です。返事の仕方、メモの取り方、話の聞き方や質問のマナーから指導しなければならないケースもあるでしょう。こうした、社会人の基本ともいえる項目も、プログラムに組み込む必要があります。

中途採用者は、社会人としての経験を持っています。基本的なマナーや考え方を習得済みである人材が、多いのではないでしょうか。中途採用者向けには、より実戦的で具体的な研修を提供します。一人ひとりの経験やスキルを踏まえ、現場で活躍してもらうために足りないポイントを補強するイメージで研修内容を構成してください。

社員の育成指針を決定する

自社では、社員の育成をどのように計画しているでしょうか。例えば、新卒入社社員の1年後の姿、中途採用者の半年後の姿が、明確になっているのが望ましい状態です。一定期間、業務に従事した後の姿が明確になっていれば、研修で取り扱うべきテーマやプログラムも自ずと明らかになります。

もし、社員の育成指針が決まっていなければ、この機会に着手してはいかがでしょうか。1年後、2年後、3年後、5年後、10年後…と、短期から長期までの育成指針を明確化すると、新入社員研修に役立てられるだけでなく、既存社員のキャリア構築やモチベーションアップにも効果が期待できます。

研修後のあるべき姿を言語化する

研修後に、「研修を受けたが、意味はあったのだろうか」という主旨のコメントが聞かれるのは、よくある例です。研修が目指すゴールや、研修によって社員にもたらしたい変化が明瞭でない研修は、参加者も意義を見い出せないまま終わってしまうでしょう。

研修を構築する際は、研修を受けた社員が研修後にどのような姿になってほしいのか、明確に言語化しておくことが大切です。ゴールが明確化されれば、ゴールに至るまでのプログラムも、どのような内容にすべきか決まってきます。

職場で求められるスキルを精査する

新入社員研修の内容と、職場で求められるスキルにミスマッチがあると、配属後に新入社員と配属先どちらも失望するおそれがあります。新入社員研修を構成する前に、職場で必要となるスキルを精査しておきましょう。

職場で必要なスキルを調べる方法は、2つあります。

  • 職場の先輩社員や責任者にヒアリングする
  • 人事担当者が職場を視察する

また、どのスキルの重要度・優先度が高いかも見ておくと良いでしょう。重要で優先的に習得が必要なものから、研修内容に組み込むと、限られた研修時間を有効活用できます。

インプットとアウトプットをセットにする

座学がメインの研修は、インプットに終始しがちです。何事も、インプットだけでは真の理解も習得も難しいもの。アウトプットの機会をできるだけ増やし、身につく研修を構築しましょう。

たとえば電話応対は、応対の仕方(言葉遣いや取次方法)をインプットするだけなら、簡単です。難しいのは、突然鳴り響く呼び出し音に素早く反応し、落ち着いて受話器を取って、相手の話を正確に聞き取る一連のプロセスではないでしょうか。この行動は、電話応対の実体験が少ないほど、緊張します。

極力、実践機会を確保できる研修内容にしておくことが、大切です。研修で経験値を積んでおくと、職場に配属されたあとも、研修を思い出しながら適切に対応できる確率が高まります。

新入社員研修で採用されている手法

研修は、インプットとアウトプットのバランスが重要です。本章では、新入社員研修でよく採用される手法を4つ紹介します。手法の特徴をチェックし、インプット・アウトプットの機会が確保されたプログラムを構築するヒントにしてください。

座学

座学は、インプットのために行われる、もっとも一般的な手法です。指導者が前に立ち、講義形式で行われます。

大切な内容を全体に周知する面では優れていますが、一方通行になりやすい点に注意が必要です。研修受講者の集中を維持し、興味を喚起するさまざまな工夫が必要になります。

会場のレイアウトは、座学のみの場合はセミナー形式やシアター形式が良いでしょう。アウトプットと組み合わせる場合は、グループごとに島をつくるアイランド形式や、コの字・ロの字型などもおすすめです。内容に合わせて、利便性の高いレイアウトを工夫してください。

グループワーク

グループワークは、受講者を少人数グループに分け、テーマを与えて議論や意思決定、発表などを実施します。他社と議論や協働することの重要性を理解してほしい際に、最適な手法です。

意思決定の難しさ、リーダーシップの重要性なども、体感してもらえるでしょう。グループが行き詰まったときにヒントを与える役として、先輩社員等をオブザーバーとして配置すると、ワークの進行が円滑になります。

ケーススタディ

ケーススタディとは、事例から学ぶ研修スタイルです。自社で実際にあった事例や、典型事例等を題材に、問題点の発見や対処法を分析します。

ケーススタディは、受講者一人ひとりが個別に取り組む形でも、グループワークと組み合わせても実施できます。じっくりと時間をかけて分析してほしい場合は個別に、チームで協働する価値を見い出してほしいときはグループでと、目的に合わせて使い分けても良いでしょう。

ロールプレイング

ロールプレイングは、よくある場面を想定し、与えられた役割になりきって対応しながら、実戦力を伸ばす手法です。電話応対や名刺交換といった基本マナーのほか、アポイント取得やプレゼンなどの営業活動、さらに上司への報連相など、業務中に起きるあらゆる場面が題材になります。

ロールプレイングは、成功例を真似するアプローチがおすすめです。正しいやり方、成果を出している先輩社員の対応を学び、習得する流れで構成してみてください。また、フィードバックが評価者の主観や感想に偏らないよう、評価基準を共有しておくことも大切です。

新入社員研修の企画から実施までの流れ

新入社員研修を企画し、実施する具体的な流れを解説します。

研修の目的を明確化する

まずは、新入社員研修の目的明確化から始めます。先に解説した通り、研修の目的設定は何より重要です。目的が曖昧なまま研修を実施すると、「研修を受けただけで、実りがない」という感想が生まれかねません。

また、研修には人的・時間的コストがかかります。「毎年やっているから」「やるべきものだと思うから」といった理由ではなく、改めて何のために・何を成果とする研修なのか、言語化してください。

なお、目的は受講者の属性や現状に合わせて、柔軟に変更して構いません。その意味では、目的の設定は、次項「受講者の現状を把握する」と同時に進行しても良いでしょう。

受講者の現状を把握する

今回の新入社員研修を受講する受講者の現状を、できるだけ正確に把握します。現状に合わせ、プログラムの最適化を図るためです。

中途採用者が対象の研修であれば、受講者の前職や経験職種、スキルなども確認しておきます。

内容と手法を検討・決定する

目的と受講者の現状把握が完了したら、目的を達成するための研修内容・手法を検討します。必要な内容をあまさず盛り込めるよう、経営陣や部門長、先輩社員などへのヒアリングもおすすめです。思わぬ視点からの指摘があり、研修内容の充実が図れる可能性があります。

内容によっては、外部への委託を検討したほうが良い場合もあるでしょう。外部に委託すると、研修のプロフェッショナルから熱意ある指導が受けられ、また社内にはない知見も獲得できます。

委託する場合は、委託したい内容を明確にし、最適な委託先を探し始めます。

スケジュールを決め、受講者を招集する

研修のスケジュールを決め、受講者に周知します。伝えるべき内容は、研修の実施日時と会場、持ち物です。

時間は、開始時間とあわせ、終了目安時間も併記すると良いでしょう。会場が分かりにくい立地なら、地図を添えると親切です。

研修を実施する

計画に沿って、研修を実施します。受講者の表情や仕草を随時見つつ、目的達成に向かっている手ごたえを確認しながら進めましょう。必要なら随時、微調整を加えることも大切です。

効果を測定し、改善策をまとめる

新入社員研修が終わったら、効果測定と改善策のまとめを実施します。

効果測定は、実績や成果物などから測定します。アンケートで集められた受講者の声も、研修内容を評価する大切な要素です。

報告書には改善策もまとめておきましょう。次の新入社員研修に役立つだけでなく、研修をブラッシュアップさせるノウハウとして蓄積していけます。

目的を達成できる新入社員研修の注意点

研修が目的を達成できるかどうか決める、注意点を2つ解説します。より目的に近づける研修プログラムを構成するヒントにしてください。

研修後のフォローアップ体制を整備する

受験勉強では、「1冊の問題集を最低、3回は反復せよ」といわれます。知識の定着には、時間と反復が欠かせません。研修も、一度の受講で内容を完璧に習得できる人は、ほとんどいないでしょう。

この前提に立ち、研修後のフォロー体制も整えておくことが大切です。

振り返りの時間を設ける、質問に対応する機会をつくるといったのは、どの企業でも取り入れやすいフォロー例です。

また、研修と日々の業務の橋渡しも、大切なフォローです。実践しながら生まれてくる質問や悩みもあるでしょう。現場の社員と協力しながら、研修で学んだ内容を新入社員が実戦で生かせるサポートを心がけてください。

必要に応じて外部のプロに依頼する

新入社員研修には、目的設定から内容構築、フォローまで、多岐にわたるタスクが発生します。専門的なノウハウが必要な工程もあり、自社のリソースだけでは実施が困難だという場合も考えられます。

また、人材不足・人手不足の昨今、研修とはいえ、一時的に指導役の社員が現場から抜けるのは、営業上、好ましくないケースもあるかもしれません。

新入社員研修は、必要に応じて外部委託も検討してみてください。新人教育・育成のプロに依頼すれば、さまざまな業種・業界で培われた知見を生かしながら、質の高い研修が実現します。

ES ACADEMYは東京と福岡、そしてオンラインで全国に向けて、“甘やかさない”令和式の新入社員研修実施で定評ある企業です。数多くの大手企業での実施実績もあるSALES ACADEMYの新入社員研修について、お気軽にお問い合わせください。

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まとめ

新入社員研修は、企業の理念や事業内容への理解を深めつつ、職場で求められる基本スキルを習得する、大切な機会です。新しく仲間になった人材と企業とが、初めて協働する場でもあり、そのファーストインプレッションによって、人材の期待値を高めることも、下げてしまうこともできます。

目的を明確にし、職場と受講者のニーズに合った新入社員研修を作り上げてください。

新入社員研修を専門に手掛けるSALES ACADEMYは、ビジネスマナーから営業スキルの習得、自己成長のための研修まで、あらゆる目的に対応します。

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