新人が辞める前に出すSOSサイン4つ|早期離職を防ぐ定着の指導法 - 甘やかさない令和式の新入社員研修ならセールスアカデミー|新人教育・育成会社
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コラム

新人が辞める前に出すSOSサイン4つ|早期離職を防ぐ定着の指導法

 

「辞めます」と言われたときには、もう手遅れです。新人育成の現場で、もっとも多く聞く後悔がこれです。

厚生労働省の最新公表では、大学卒の就職後3年以内離職率は33.8%(令和4年3月卒業者/2025年10月24日公表)。高校卒では37.9%にのぼります。

ただし、新人は何の前触れもなく辞めるわけではありません。セールスアカデミー代表・宮脇伸二はYouTubeチャンネルで、多くの新人は辞める前に、仕事の中で小さなSOSサインを出していると指摘しています。

本記事では、2026年7月に実施した新入社員フォローアップ研修の振り返りシート(41社・新入社員203名)と、厚生労働省の統計・指針を突き合わせ、新人が出す4つのSOSサインと、気づいた後の具体的な面談の進め方を整理します。

【この記事で分かること】

  • 新人の早期離職・早期退職がどの規模の企業で起きているのか(厚生労働省の最新値)
  • 新入社員203名の本音と公的統計から分かる、辞める前に現れる4つのSOSサイン
  • サインに気づいた後の面談の進め方と、「仕事の報酬」を振り返らせる具体的な質問
  • 指導とパワーハラスメントの線引き(厚生労働省の定義)

【調査概要】

調査主体 株式会社セールスアカデミー(自社調べ)
調査時期 2026年7月9日
対象 新入社員フォローアップ研修 受講者/41社・新入社員203名(n=203)
調査方法 研修内で配布した「入社3ヶ月の振り返りシート」への自由記述回答をキーワード集計
設問 ①嬉しかったこと・褒められたこと ②苦しかったこと・叱られたこと ③仕事をしていて不安に思うこと
併用した公的統計 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」「令和5年若年者雇用実態調査」「労働者の心の健康の保持増進のための指針」「こころの耳」

※自由記述のため複数の要素を含む回答があり、件数の合計は回答者数と一致しません。割合はn=203に対する比率です。回答者は研修受講企業41社の新入社員であり、育成投資に積極的な企業層に寄る点はご留意ください。

新人の早期離職はどれくらい起きているのか?大卒3年以内離職率33.8%の実態

POINT

大卒の3年以内離職率は33.8%。事業所規模が小さいほど高く、5〜29人では52.0%と半数を超えます。さらに若年正社員の31.2%が「転職したいと思っている」と回答しています。

早期退職は、一部の企業だけの問題ではありません。規模が小さい企業ほど、離職率は明確に高くなります。

事業所規模別・大卒者の3年以内離職率

事業所規模 3年以内離職率(大卒)
5人未満 57.5%
5〜29人 52.0%
30〜99人 41.9%
100〜499人 33.9%
500〜999人 31.5%
1,000人以上 27.0%
全体 33.8%

出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」2025年10月24日公表

さらに見過ごせないのが、在職中の若手の転職意向です。厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」(2024年9月25日公表)では、若年正社員のうち31.2%が「転職したいと思っている」と回答しました。

この割合は平成25年調査で25.7%、平成30年調査で27.6%、令和5年調査で31.2%と、調査ごとに上昇しています。辞める意思は、静かに、しかし確実に広がっています。

入社直後のつまずきを先回りして潰す設計は、全職種向け 社会人基礎力・ビジネスマナー研修(5日間)のように、報連相や電話応対を含めて型から固めるのが有効です。

サイン1:できていた簡単な仕事でミスが増えたら?新人が最初に出すSOS

POINT

最初のSOSは「これまでできていた簡単な仕事で、急にミスが増える」ことです。厚生労働省も「いつもと違う」部下のサインとして「ミスや事故が目立つ」「仕事の能率が悪くなる」を挙げています。新入社員203名が「苦しかったこと・叱られたこと」で最多に挙げたのもミス・確認不足への指摘/注意:47件(23.2%/n=203)でした。

見るべきは、ミスの多さではなくミスの変化です。

入社直後のミスは、単純にスキルと経験の不足です。一方、これまで問題なくこなしていたルーチン業務で最近になってミスが出始めたときは、能力の問題ではありません。

動画の中ではこの状態を「心ここにあらず」と表現しています。新人の頭の中では、次のような不安が膨らみ、目の前の作業から注意が奪われています。

  • この仕事を、このまま続けていいのか
  • この先、自分はどうなるのか
  • 自分は成長できているのか
  • この会社にいても成果を出せないのではないか

この「ミスの増加」は、国の資料でも明確にサインとして位置づけられています。厚生労働省「こころの耳」の教材『15分でわかるラインによるケア』は、管理監督者が「いつもと違う」部下に早く気づくことの重要性を示し、具体例として次を挙げています。

厚生労働省が示す「いつもと違う」部下のサイン

区分 具体的なサイン
勤怠に関して 遅刻、早退、欠勤が増える/残業、休日出勤が不釣合いに増える/休みの連絡がない
仕事に関して 仕事の能率が悪くなる/業務の結果がなかなか出てこない/報告や相談、職場での会話がなくなる(あるいは多弁になる)
行動に関して 表情に活気がなく、動作にも元気がない/不自然な言動が目立つ/ミスや事故が目立つ/服装が乱れる

出典:厚生労働省「こころの耳」eラーニング『15分でわかるラインによるケア』

※これらの変化があれば不調と断定できるものではありません。同教材も、背後に病気が隠れている場合の判断は産業医もしくはそれにかわる医師の仕事だとしています。複数の変化が続く場合に、声かけや相談につなげる目安として扱ってください。

VOICE|新入社員の声

「苦しかったこと」の自由記述で多かったのは、「確認を怠ってお客様に迷惑をかけた」「同じ失敗を繰り返してしまう」といった記述でした。指摘した上司への不満ではなく、ミスを繰り返す自分自身への焦りに向かう傾向が見られます(要約)。

出典:2026年7月 新入社員フォローアップ研修 振り返りシート(41社・新入社員203名・自社調べ)自由記述より

【上司・指導者が実践できる具体的な指導法】

1. ミスを「回数」ではなく「変化」で見る

新人ごとに、担当業務と初回習得日を一覧にしておき、すでに習得済みの業務でミスが出た日だけ印をつけます。
なぜ効くか:スキル不足のミスと、不安由来のミスを切り分けられます。切り分けができれば、叱るべき場面と聞くべき場面を間違えません。

2. 第一声を「なぜ」ではなく「らしくない」にする

「なんでこんなミスをしたんだ」ではなく、「今日は君らしくないんじゃないか。以前はできていたけど、最近どうした?」と声をかけます。
なぜ効くか:セールスアカデミー代表・宮脇伸二はYouTubeチャンネルで、この場面では叱責ではなく面談が必要だと述べています。「らしくない」は、相手の平常時を認めた言い方なので、防衛反応が起きにくくなります。

3. 「何かあったら相談に乗る」を先に置く

その場で答えが出なくてもよいと伝え、「何かあったら相談に乗るよ」と言い残して席に戻ります。
なぜ効くか:無理に本音を引き出そうとすると、新人は防衛的になります。「こころの耳」も、無理強いはせず管理監督者自身が専門家に相談する選択肢を示しています。相談の入口だけ開けておけば、本人のタイミングで話し始めます。

サイン2:「成長している実感がない」は離職の予兆?新人育成で最も危険な言葉

POINT

新入社員が「嬉しかったこと」で最多に挙げたのは成長・上達の実感:35件(17.2%/n=203)。一方、公的統計では若年正社員の満足度がもっとも低い項目の一つが「教育訓練・能力開発のあり方」18.5ポイントです。成長実感が切れたときが、もっとも離職に近づく瞬間です。

成長実感の喪失は、ミスより静かに進行します。

動画の中では、新人によくある悩みとして「自分が成長している実感を持てないこと」を挙げ、そこから「この会社にいても成長できない → このまま続けても成果を出せない → 別の会社へ行こう」という思考の流れが生まれると説明しています。

この見立ては、公的統計とも整合します。厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」の職業生活の満足度D.I.を見ると、若年正社員では次の順になっています。

若年正社員の職業生活の満足度D.I.(抜粋)

項目 満足度D.I.(ポイント)
雇用の安定性 66.4
職場の人間関係、コミュニケーション 57.3
仕事の内容・やりがい 55.2
職業生活全体 37.8
人事評価・処遇のあり方 27.3
教育訓練・能力開発のあり方 18.5
賃金 -5.9

出典:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」2024年9月25日公表/満足度D.I.=「満足」「やや満足」の割合から「不満」「やや不満」の割合を差し引いた値

「教育訓練・能力開発のあり方」は18.5ポイント。賃金(マイナス5.9ポイント)を除けば、もっとも満足度が低い項目です。

注目すべきは、この項目で「どちらでもない」と答えた若年正社員が38.8%にのぼる点です。不満とまでは言わないが、育ててもらえている実感もない。この層がもっとも厚いのが実態です。

さらに、同調査で転職したいと思っている若年正社員に理由を尋ねると、「仕事が自分に合った会社にかわりたい」41.9%「自分の技能・能力が活かせる会社にかわりたい」33.8%が上位に並びます。成長と適性は、現場の指導でこそ変えられる領域です。

VOICE|新入社員の声

「上手にできたと思えた日が見つけられない」

※一方で「嬉しかったこと」には、「最初は取れなかった電話が取れるようになった」「一人で商談を進められた」など、できることが増えた瞬間を挙げる回答が並びました。次いでお客様からの感謝の言葉(20件・9.9%)、契約・受注などの成果達成(15件・7.4%)が続きます(要約)。

出典:2026年7月 新入社員フォローアップ研修 振り返りシート(41社・新入社員203名・自社調べ)自由記述より

【上司・指導者が実践できる具体的な指導法】

1. 「どんな仕事の報酬を得たか」を本人に書かせる

面談で「入社してからこの半年間で、どんな仕事の報酬を得ましたか?」と問い、5〜10分、紙に書き出してもらいます。給料以外の報酬=できるようになった仕事、褒められた経験、お客様の反応、獲得した受注です。
なぜ効くか:動画では、この問いに時間をかければ10個程度は挙がると述べています。成長は本人の内側にあるため、上司が説明するより、本人に発見させたほうが実感が残ります。

2. 「半年前にできなかったこと」と比較させる

「今できることのうち、4月にはできなかったものはどれ?」と時点を指定して聞きます。
なぜ効くか:新人は日々の業務に追われ、自分の変化に気づけません。比較の基準を渡すだけで、成長実感(35件・17.2%)が回復します。

3. 上司からは「差分」を具体的な数字で返す

「よくやってる」ではなく「4月は3分かかっていた電話メモが、今日は1分で書けていた」と変化量を言葉にします。
なぜ効くか:過去との差分は、本人には見えず上司にしか見えない情報です。「どちらでもない」38.8%の層を、満足側に動かせる唯一の材料です。

サイン3:報告・相談・雑談が減ったら?入社1年未満の離職理由1位は「人間関係」

POINT

3つ目のSOSは「報告や相談、職場での会話がなくなる」ことです。厚生労働省の統計では、初めて勤務した会社を勤続1年未満で辞めた人の離職理由1位は「人間関係がよくなかった」。3か月未満で辞めた層では52.3%に達します。

入社直後の離職は、待遇の問題ではなく関係の問題として起きています。

厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」で、初めて勤務した会社をやめた主な理由(3つまでの複数回答)を見ると、全体では労働時間・休日・休暇の条件が1位です。

初めて勤務した会社をやめた主な理由(全体)

理由 割合
労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった 28.5%
人間関係がよくなかった 26.4%
賃金の条件がよくなかった 21.8%
仕事が自分に合わない 21.7%
ノルマや責任が重すぎた 15.2%
会社に将来性がない 11.5%

出典:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」2024年9月25日公表(3つまでの複数回答)

ところが、勤続期間で区切ると順位が入れ替わります。同調査は「1年未満の期間では『人間関係がよくなかった』と回答した割合が最も高い」と明記しています。

勤続期間別・「人間関係がよくなかった」を挙げた割合

初めて勤務した会社での勤続期間 人間関係 労働時間等
3か月未満 52.3% 40.8%
3か月〜6か月未満 40.1% 32.5%
6か月〜1年未満 37.4% 32.4%
1年〜2年未満 25.1% 29.1%
5年〜10年未満 16.5% 25.0%

出典:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」2024年9月25日公表

3か月未満で辞めた層の52.3%が人間関係を挙げ、1年を超えると25.1%まで下がります。早く辞めるほど、理由は「人」になるということです。

だからこそ、会話量の変化は重要な指標になります。「こころの耳」がサインとして挙げる「報告や相談、職場での会話がなくなる」は、新人育成の現場ではもっとも拾いやすい変化です。

VOICE|新入社員の声

「苦しかったこと」では、報連相のタイミング・伝え方に悩んだという記述が16件、電話対応の難しさが13件ありました。報告や相談は、新人にとって「気軽な行為」ではなく、毎回ハードルを越える行為です(要約)。

出典:2026年7月 新入社員フォローアップ研修 振り返りシート(41社・新入社員203名・自社調べ)自由記述より

【上司・指導者が実践できる具体的な指導法】

1. 「相談件数」を新人ごとに数える

週あたり何回、自分から相談・質問に来たかをメモします。件数が半分に減ったら面談を入れます。
なぜ効くか:本音は申告ではなく行動量に表れます。相談件数は、もっとも簡単に取れる定着の先行指標です。

2. 報連相の「時間」を先に確保する

「何かあったら言って」ではなく、1日1回、5分の定時報告枠をカレンダーに置きます。
なぜ効くか:報連相のタイミングに悩む新人(16件)にとって、声をかける判断そのものが負荷です。枠があれば、判断せずに報告できます。

3. 指導する人を1人に固定し、記録を共有する

担当指導者を明示し、誰が何を褒め、何を注意したかを日報やチャットで共有します。
なぜ効くか:全員がバラバラに指導すると、新人には「全員から否定されている」と映ります。入社1年未満の離職理由1位が人間関係である以上、関わり方の統一は定着施策そのものです。

サイン4:「特に不安はありません」という答えこそ注意すべき理由

POINT

「不安に思うこと」への回答で最多は「特に不安はない」97件(約48%/n=203)。サポートへの感謝を添えた回答が多い一方、言語化されていない不安が隠れている可能性もあります。判断材料は、言葉ではなく行動量です。

約半数が「不安はない」と答えた事実は、まず前向きに受け取るべきデータです。

実際、「不安はない。周りのサポートのおかげ」という趣旨の回答が非常に多く、受け入れ側の関わりが機能していることがうかがえます。心理的安全性の高さを示す結果と言えます。

ただし、実務上は「不安はない」と「不安を言えない」は見分けがつきません。公的統計にも、その痕跡があります。

厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」で今後の転職希望を聞くと、「転職したいと思っている」31.2%に対し、「わからない」が37.8%と最多です。20〜24歳では「転職したい」が35.0%に上がります。

つまり、多くの若手は辞めたいかどうかを自分でも決めきれていない状態にあります。「不安はない」という回答は、その揺れを言葉にできていないだけかもしれません。

不安に思うことの内訳(n=203/自由記述キーワード集計)

論点 件数 割合
特に不安はない 97件 約48%
知識・スキル不足への不安 13件 6.4%
独り立ち・一人で担当を持つこと 9件 4.4%
ミス・迷惑をかけることへの不安 8件 3.9%
先輩・上司のようになれるか 5件 2.5%
人間関係 4件 2.0%

出典:2026年7月 新入社員フォローアップ研修 振り返りシート/41社・新入社員203名・自社調べ

【上司・指導者が実践できる具体的な指導法】

1. 「不安はない?」と聞かない

代わりに「来月、一番やりにくそうな仕事はどれ?」と、業務を主語にして聞きます。
なぜ効くか:「不安はある?」はYes/Noで閉じられ、しかもNoが答えやすい質問です。業務を主語にすると、弱みを認める形を取らずに話せます。

2. 独り立ちの「2週間前」に面談を固定で入れる

担当デビュー、単独訪問、初めての締め処理の2週間前を、面談日としてカレンダーに先に置きます。
なぜ効くか:本調査では独り立ちへの不安9件の多くが「10月から担当デビュー」という同じ時期に言及していました。不安が最大化する時期が分かっているなら、面談は事後ではなく事前に置くべきです。

3. 話を受け止める姿勢を、態度で示す

新人が話し始めたら、遮らず、評価を挟まず、まず最後まで聞きます。
なぜ効くか:厚生労働省「こころの耳」は、管理監督者の役割として「部下の話をじっくりと聴くことがとても重要」と明記しています。聴かれた経験のない相手に、本音は出ません。

新人のSOSサインに気づいたら何をする?面談の進め方と避けたい対応

POINT

やることは1つです。ミスを叱る場ではなく、1対1で話を聞く場をつくること。公的統計でも、事業所が実施する若年者の定着対策の1位は「職場での意思疎通の向上」59.7%でした。

サインに気づいた後の初動で、結果は大きく変わります。

動画の中では、次の4ステップを示しています。

  1. 以前できていた仕事でミスが増えたら、一方的に叱らない
  2. 1対1で面談し、「君らしくない」「最近どうした」と声をかける
  3. 無理に引き出さず、話し始めるまで聞き、出てきた悩みを受け止める
  4. 「仕事の報酬」を振り返らせ、成長実感を取り戻させる

この流れは、国の指針が管理職に求める役割と一致します。厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(平成18年3月策定/平成27年11月30日改正)は、管理監督者による「ラインによるケア」として「職場環境等の把握と改善」「労働者からの相談対応」「職場復帰における支援」を挙げ、上司が部下の「いつもとの違い」に注意をはらうことを求めています。

若年労働者の定着のために事業所が実施している対策(若年正社員向け・複数回答)

対策 実施した事業所割合
職場での意思疎通の向上 59.7%
採用前の詳細な説明・情報提供 58.4%
本人の能力・適性にあった配置 55.6%
労働時間の短縮・有給休暇の積極的な取得奨励 52.9%
教育訓練の実施・援助 48.5%
仕事の成果に見合った賃金 39.1%

出典:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」2024年9月25日公表/若年正社員の定着のための対策を行っている事業所は73.7%

やりがちな対応と、推奨する対応の比較

場面 やりがちな対応 推奨する対応
ミスが増えたとき 「なぜこんなミスをした」と原因を追及する 「君らしくない。最近どうした?」と状態を尋ねる
面談の進め方 悩みを言わせようと質問を重ねる 沈黙を許し、話し始めるまで待つ
悩みが出たとき その場で正論と解決策を返す まず受け止め、事実確認だけして持ち帰る
成長実感がないとき 「まだ半年だから当然だ」と一般化する 「得た仕事の報酬」を本人に10個書かせる
会話が減ったとき 「最近やる気がない」と評価に結びつける 相談件数の変化として記録し、面談を入れる
労働条件の不満が出たとき 上司が一人で抱えて励ます 人事・経営の議題に上げて構造を変える
面談の頻度 問題が起きたときだけ呼び出す 日程を固定し、節目の前に先回りで置く

なお、「叱らない」ことが正解ではありません。厚生労働省「あかるい職場応援団」は、パワーハラスメントを①優越的な関係を背景とした言動 ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの ③労働者の就業環境が害されるものの3要素すべてを満たすものと定義し、客観的にみて業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は該当しないとしています。

伝えるべきことは伝え、人格否定や侮辱に踏み込まない。この線引きこそが、新人指導の実務です。詳しくはパワハラ グレーゾーンの事例と判断基準も参考にしてください。

受け入れ側の関わり方を体系的に整えたい場合は、新入社員の受け入れ・指導を前提に設計した研修プログラムと合わせてご検討ください。

新人の離職防止・定着に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 新人が辞める前に出すサインには何がありますか?

もっとも分かりやすいのは、これまでできていた簡単な仕事でミスが増えることです。厚生労働省「こころの耳」の教材『15分でわかるラインによるケア』でも、「いつもと違う」部下のサインとして、遅刻・早退・欠勤の増加、仕事の能率が悪くなる、報告や相談、職場での会話がなくなる、表情に活気がなく動作にも元気がない、ミスや事故が目立つなどが挙げられています。加えて、成長実感が語られなくなることも実務上の注意点です。

Q2. 新人のミスが増えたとき、叱るべきですか?

スキル不足によるミスは指摘すべきですが、以前できていた仕事でのミスは、まず1対1で話を聞いてください。不安に意識が向いて集中力が落ちている可能性が高く、叱責は状態を悪化させます。なお厚生労働省「あかるい職場応援団」は、客観的にみて業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導はパワーハラスメントに該当しないとしています。伝えるべきことは伝え、人格否定には踏み込まないことが線引きです。

Q3. 入社1年未満の新人が辞める一番の理由は何ですか?

人間関係です。厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」によると、初めて勤務した会社をやめた理由は、勤続1年未満の期間では「人間関係がよくなかった」と回答した割合が最も高く、3か月未満で辞めた層では52.3%に達します。1年〜2年未満では25.1%まで下がり、代わりに労働時間・休日・休暇の条件が1位になります。つまり、早く辞めるほど理由は「人」になります。

Q4. 新人の定着率を上げるために、まず何をすればよいですか?

職場での意思疎通の向上です。厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」では、若年正社員の定着のために実施している対策の1位が「職場での意思疎通の向上」59.7%でした。回数よりタイミングの設計が重要で、独り立ちや担当デビューの2週間前など、責任範囲が変わる節目の前に面談を先回りして置くことをおすすめします。

まとめ:新人の早期離職は「突然」ではなく「見落とし」から起きる

新入社員203名の本音から見えたのは、会社を見限った新人の姿ではありません。できるようになりたいのに、自分が前に進めているか分からないという新人の姿でした。

だからこそ、最初のSOSは派手な訴えではなく、簡単な仕事での小さなミスや、減っていく相談という形で現れます。新人育成・新人指導で問われるのは、辞意を示された後の説得力ではなく、その小さな変化に気づけるかどうかです。

まずは、担当する新人の「習得済みの業務でのミス」と「自分から相談に来た回数」を、今週から記録してみてください。変化が見えた時点で面談を入れる。それだけで、辞意を告げられる前に動ける体制になります。

参考動画:悩んでいる社員が出すSOSサインに気付いていますか?

出典:セールスアカデミーチャンネル「【新人研修】悩んでいる社員が出すSOSサインに気付いていますか?対策を教えます!」(2021年10月17日公開/出演:宮脇伸二)

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執筆・監修

監修:宮脇伸二(株式会社セールスアカデミー 代表取締役)

メガバンクでの法人営業を経て、営業人材育成の専門会社を創業。新入社員研修・新人営業研修・管理職研修を年間多数の企業に提供し、営業パーソン育成と定着支援を専門領域とする。著書『新人営業は23日で決まる ——「熱・考・動」の実践』。

執筆:株式会社セールスアカデミー 編集部(新入社員研修の運営・受講者アンケート分析を担当)

出典一覧

  • 株式会社セールスアカデミー「新入社員フォローアップ研修 振り返りシート」2026年7月9日実施/41社・新入社員203名(自社調べ)
  • セールスアカデミーチャンネル「【新人研修】悩んでいる社員が出すSOSサインに気付いていますか?対策を教えます!」2021年10月17日公開(出演:宮脇伸二)
  • 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」2025年10月24日公表
  • 厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」2024年9月25日公表(事業所調査 有効回答7,867事業所/個人調査 有効回答13,218人)
  • 厚生労働省「こころの耳」eラーニング『15分でわかるラインによるケア』
  • 厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」平成18年3月策定/平成27年11月30日改正
  • 厚生労働省「あかるい職場応援団」ハラスメントの定義(パワーハラスメントの3要素・6類型)

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