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コラム

新入社員向け営業研修の考え方と構築方法、カリキュラムの具体例を解説

営業は、企業の売上を支える重要な部門です。一方で、顧客との接点によって実践的な学びを得やすいこともあり、新入社員の最初の配属先として、よく選ばれる傾向があります。

ただ、さまざまな事情から、配属された新人を丁寧に育成するリソースがない営業部門も、多いのではないでしょうか。

そこで重要度を増すのが、新入社員研修での営業力養成です。本記事では、新入社員に営業力を習得させる研修のポイントを解説します。最後まで目を通していただくと、新入社員に向けた営業研修を構築できるでしょう。

営業力を強化する人材育成のヒントとして、活用してください。

営業力を育てる新入社員研修の考え方

未経験の新入社員に、高いレベルの営業力の習得を求めるのは、拙速です。企業の売上に直結する重要な業務であるからこそ、営業力は段階的に身につけさせなければなりません。

営業力育成のための新入社員研修は、次の3ステップで考え構築すると良いでしょう。

  1. 基本スキルの習得
  2. ステップアップ
  3. 営業スタイルの確立

それぞれの要点を解説します。

1. 営業の「基本」を徹底的に習得させる

物事の習得では、よく「守破離」が例に挙げられます。営業も、例外ではありません。これから営業力を習得しようとする新人には、まず基本を徹底的に扱う研修から始めましょう。

はじめに営業力の基盤となる知識やスキルを確固たるものにしておけば、その後にインプットされるレベルの高い知識・スキルも、着実に連動させられるようになります。

反対に、基盤を確立できないままインプットを続けても、頭でっかちの営業スタッフになってしまい、地に足をつけた営業活動ができなくなってしまうでしょう。

世に一般的にいわれる営業スキルと、自社で求められる営業スキルを改めて洗い出し、基本の習得を研修の冒頭に組み込んでください。

2. 徐々に営業スキルのステップアップを図る

営業活動の基本をマスターしたら、ステップアップを図る段階的な研修を用意しておきます。プレゼンテーションスキル伸ばす、効果的なソリューション提案の仕方を知る、あるいは気難しく対応が難しい顧客との関係づくりなど、営業の現場ですぐに生かせるスキル習得メニューを用意しても良いでしょう。

この段階に達した新入社員は、多かれ少なかれ営業の現場に立っているはずです。実践を経験したことで、営業活動を自分ごとと捉えられるようにもなり、研修内容の習得に対する貪欲さも増すと期待できます。新入社員のニーズに対応した、実戦的なカリキュラムを考案します。

3. 新人の個性を生かした営業スタイルを確立させる

最終ステップでは、守破離の「破」、そして「離」をサポートします。基本を習得し、実戦的なスキルを身につけてきた新入社員の個性を踏まえ、より成果につながりやすい、効果的な営業スキルの習得を目指した内容を組み入れましょう。

実績を出している先輩社員の協力を得、ケーススタディやOJTを積極的に取り入れるアプローチも良いでしょう。また、自分流の癖を修正し、正しいやり方で営業できるように、あえて基本に立ち返る時間を設ける研修もおすすめです。

営業スタッフの個性や扱う商品・サービスの種類、B to BかB to Cか、新規開拓かルート営業など、多くの要素によってベストな営業スタイルは変わります。新入社員の現状を丁寧に踏まえ、思う存分活躍できるよう、方向性を示す段階と考えてください。

営業力を育てる新入社員研修の基本構成

営業スキルを習得させる新入社員研修は、基本的に5つのコンテンツで構築できます。

  1. 営業マインドの育成
  2. 商品・サービスへの理解
  3. 営業プロセスの全体像理解
  4. 営業目標の設定
  5. 実践トレーニング

それぞれ、何に配慮して研修を考案すれば良いか、詳細を解説します。

営業マインドの育成

営業経験を有する中途入社社員以外の新入社員は、「営業とは何か」という基本概念への理解が不十分です。中には、「営業はノルマに追われる」「営業はお客様に頭を下げてばかり」といった、ネガティブな先入観を抱いた状態で、研修に参加する新入社員もいるかもしれません。

営業力を高める新入社員研修では、まず営業とは何かの正しい理解と、営業マインドを身につけさせることが重要です。正しい方向の考え方を持っていなければ、その後に続くインプットも、さらにアウトプットも精度の高いものにはなり得ません。

営業とは、顧客が抱える悩みや課題、ニーズをキャッチし、その解決のための商品・サービスを提案する仕事です。「相手の困りごとを解決する」、ポジティブな業務であると理解できれば、新入社員の営業に対するモチベーションも向上するはずです。

商品・サービスへの理解

次に、自社の商品やサービスを正しく、深く理解させます。そもそも、自社が扱う商品やサービスを理解していなければ、顧客の課題に対し的確な提案ができません。また、本来できないことを「できる」と誤って伝えてしまうなど、トラブルの要因にもなります。

営業研修では、自社が扱う商品・サービスに関して知識を深めるカリキュラムを組み入れてください。少なくとも、以下は押さえておきたい項目です。

  • 商品やサービスの種類
  • 存在理由(解決できる課題)
  • 価格
  • 独自性
  • 他社に対する優位性
  • 先行導入顧客が得た効果(感想)
  • 今後の事業展開予定

新入社員が実際に利用可能な商品であれば、使ってもらうと良いでしょう。使い勝手や効果を肌身で実感でき、確信を持った言葉で顧客に提案できるようになります。

また、商品を生産している工場を見学すると、製造工程からも商品への理解が深まります。

営業プロセスの全体像理解

営業マインドを理解し、商品・サービスを把握したら、いよいよ営業活動の実践に近づいていきます。ここでは、営業活動はどのような流れで進むのか、全体像の把握を目指します。

営業活動は、業種や業態によって多少の違いはあるものの、一般的に以下の流れで進みます。

  • 顧客とのコンタクト
  • 課題のヒアリング
  • ソリューションの提案
  • クロージング
  • アフターフォロー

それぞれの項目は密に連動しており、どれ1つが欠けても営業活動は成功しない点を、理解させましょう。あわせて、契約締結の注意点やアフターフォローの体制など、細かな規約も新入社員に伝達しておきます。

営業目標の設定

営業活動の実践に向けて、目標を設定します。新入社員研修内では、「目標の考え方と立て方」のスキル習得を目指すと良いでしょう。現場に配属された後の実際の目標は、配属後に部署の上長と相談しながら決めることになるためです。配属後、円滑に目標を立てられるように、基本的な目標の考え方を伝授します。

研修で扱いたい目標設定の考え方は、後ほど詳しく解説します。続きをご覧ください。

実践トレーニング

最終段階では、実践トレーニングを計画します。本番を想定し、さまざまなパターンで営業の現場を実体験できるようなメニューを用意しましょう。

実践的なトレーニングの具体的な手段には、以下のような例があります。

  • ロールプレイング
  • OJT
  • 先輩社員に同行

まずはロールプレイングで基本の流れを習得し、その上で先輩社員等によるOJTで実戦力を高める流れがで進むと、新入社員に過剰な負荷をかけることなく、スキルを習得させていけます。OJTでは、現場の実務に即して業務に当たります。現場で求められる具体的なスキルが、徐々に身についていきます。

営業活動の流れを理解・習得できたら、先輩社員の営業活動に同行し、実際の雰囲気や顧客との交渉の仕方を学びます。顧客に失礼がないよう、社会人としての基本的なマナーも、あわせて習得させておきます。

新入社員研修での営業目標の設定方法

営業活動の目標設定の研修方法を解説します。

本章で解説する目標設定のやり方は、今後の営業活動でも継続的に活きる基本的事項です。研修で考え方を理解・習得し、実際の現場でも生かしていくよう、新入社員に伝えてください。

定量・定性の両目標を立てる

まず、目標には「定量」「定性」の2つの考え方があることを伝えます。

  • 定量:数値や数量で表せる目標
  • 定性:数値化が困難な目標

「1日に〇件の顧客を訪問する」「アポイントの電話を1日に〇件かける」などは、定量目標です。一方、「顧客に出せるレベルの提案資料を自力で作れるようになる」「コスト意識を持ち、営業活動の無駄を削減することに注力する」といった目標は、定性です。

定量目標は、数値で分かりやすく指標が示される点がメリットです。何をすれば良いかが明瞭で、新入社員にとっての行動の指針にもなります。

一方で、結果ばかりに注目が集まり、「できたか・できなかったか」の二極的な評価になりやすい点には、注意しなければなりません。新入社員が定量目標にこだわりすぎると、結果を出せなかった際にモチベーションが低下するおそれがあります。

目標は定量と同時に、定性も定めるよう指導しましょう。定性目標は、「こうなりたい」という理想像を言語化したものです。数値で評価されるものでもないため、新入社員も努力のしがいがあり、業務に対して意欲的になると期待できます。

達成可能な目標レベルにする

やる気に満ちた新入社員ほど、高水準で崇高な目標を掲げやすいものです。ただ、目標が高すぎると、精神的な負担が過剰にかかるかもしれません。また、達成できなかった時に、意欲が減退することも考えられます。

目標設定では、達成可能な目標を立てるよう指導すると良いでしょう。高い目標も、小さな目標の積み重ねで到達できます。マイルストーンの考え方の伝授もおすすめです。

目標達成のKPIを設定する

KPIは、最終的な目標を達成するために必要な業務の進捗、あるいは成果を評価する指標です。「1か月で50件電話をかける」という目標を設定している新入社員なら、「1日当たり・1週間当たり何件かけるべきか」が、KPIになります。

目標をブレイクダウンしKPIを設定すると、いますべき行動が明確になり、客観的な評価もしやすくなります。KPIの達成状況によって目標の達成可否も見通しやすくなり、達成困難な場合も早期に対策が打てるようになるでしょう。

営業力を育てる新入社員研修に取り入れたいカリキュラム

営業力育成を目指す新入社員研修の効果性を高めるカリキュラムの例を、7つ紹介します。自社の業態や営業スタイルを踏まえ、必要性の高いものから組み込んでみてください。

顧客対応の基本

営業スタッフは、常に顧客対応の最前線に立ちます。基本的な対応スキルを有し、相手に不快感を与えない応対ができることは、まず身につけておくべき力です。

立ち方や座り方、名刺交換の仕方、言葉遣いといった社会人の基本から、メールマナーやプレゼンテーションの進め方、アポイントの取り方など、営業に直結するスキルまで、幅広茎本を網羅するカリキュラムを配置します。

スケジュール管理、タスク管理

営業スタッフは、「〇日までに、××社に資料を送付する」「△△様に依頼された見積もりを作成し、上長の確認をとる」といったスケジュール・タスクを管理します。これらはすなわち、顧客との約束ごとです。営業スタッフの管理がずさんだと、顧客との約束が履行されないことになり、ひいては企業全体の信頼低下にもつながります。

営業スキルの研修では、スケジュールやタスク管理の重要性を伝え、具体的なやり方も伝授しておく必要があります。

企業や営業部で導入している管理ツールがあれば、使い方をレクチャーしてください。また、ツール以外にも自分で把握する手法も紹介すると良いでしょう。

スケジュールやタスクの管理方法は、人によって異なります。成果を出している先輩社員数人に登場してもらい、現場に即した具体的な方法を紹介してもらう実践的な研修もおすすめです。

報連相

企業に属し、チームの一員として業務に当たる以上、報連相(報告・連絡・相談)を適切に実践できるスキルは、非常に重要です。とりわけ、新入社員の期間は自分で判断できる事柄も少なく、より一層密な報連相が求められます。

営業力を高める新入社員研修でも、報連相の意義と重要性、具体的なやり方を扱っておきましょう。

報連相は、タイミングの見極めと判断軸の習得、簡潔な伝え方の実践がゴールになります。

ヒアリング力

ヒアリングは、営業活動の基本です。顧客の課題や心理を深掘りし、自社の商品・サービスを提案する機会を探る、いわば営業活動のスタート地点。ここで失敗すると、その後の営業活動の継続が困難になります。

ヒアリングは、ただ顧客の言葉に耳を傾ければ良いだけではありません。言葉の端々から顧客の本音を探り、本質的な問題を積極的に洗い出す姿勢が大切です。また、顧客ニーズが顕在化しているか、潜在的かによっても、適切なアプローチは変わります。

営業スキルを磨く新入社員研修では、顧客ニーズの段階に合わせたヒアリングの仕方をトレーニングしておくと良いでしょう。対話を意義あるものにするための質問のバリエーションも伝え、練習する時間を設けます。オープン質問とクローズド質問の使い分けや仮定を使った質問などは、ぜひ習得させたいテクニックです。

提案力

営業活動における提案では、自社の商品やサービスのスペック説明だけでは不十分です。スペックは、ホームページやパンフレットを見れば把握できます。顧客が知りたいのは、「その商品・サービスを使うと、自分たちにどのようなメリットがあるのか」「その商品・サービスによって、どの課題がどのように解決されるのか」です。顧客の課題を解決するストーリーテラーとしての役割が求められます。

ヒアリングによって明確化した課題に対するソリューションを、わかりやすく、かつ魅力的に伝える表現力も必要でしょう。信頼を得るためには、堂々とした立ち居振る舞いも重要です。あわせて、顧客がつい、前のめりになって聞きたくなるプレゼンテーション能力の養成も目指してください。

クロージング力

営業の成否を決めるクロージング力を育成するカリキュラムも、研修に組み込みます。クロージング力が弱いと、そこまでのプロセスがどんなに素晴らしくても、成約という成果につながらないためです。

クロージング力は、3つの要素から構成されます。

  • 顧客の疑問や不安を解消する
  • 商品、サービスの価値を認識してもらう
  • 契約を後押しする

まずは、クロージングの基本的なセオリーを研修しましょう。よくあるパターンをケーススタディし、最適なクロージングを見い出すアプローチもおすすめです。

また、先輩社員が実際に困った場面をシェアし、どのように対処すべきかをディスカッションしてみるコンテンツも、深い学びが得られるでしょう。

その他

成果につながる営業活動に必要なスキルは、多岐に渡ります。自社の営業活動をリサーチし、研修に盛り込むべきコンテンツは可能な限り組み込むと良いでしょう。

新入社員が悩みやすいストレスへの対処法を学ぶストレスマネジメント研修は、すべての営業研修におすすめです。また、ITツールの活用や課題発見のための研修、行動力を高める研修も後の役に立つと考えられます。

多様な顧客との会話に対応するために、最新ニュースやトレンドをキャッチアップする重要性も伝えておく必要があります。

営業力を高める新入社員研修は外注もおすすめ

営業スキル養成を目的とした新入社員研修は、扱うべき内容が多方面に渡ります。指導者に、育成スキルに加えて営業スキルが求められる場面も多く、社内のリソースだけで研修カリキュラムを構築し、指導するのは困難だという企業も多いのではないでしょうか。

営業力を高める新入社員研修を効率良く進めるために、外注を検討してみませんか。

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まとめ

新入社員への営業力研修は、営業の基本に始まり、実践的なスキルの習得まで網羅した内容で構築します。成果を出す先輩社員や営業部門長などの協力も得、実戦で役立つスキルも積極的に取り入れましょう。学んだ内容が現場で生きるとわかれば、新入社員の研修に対するモチベーションも向上するはずです。

外部のプロ講師を招聘した営業力研修もおすすめです。さまざまな業界で得た知見を生かした、高品質な研修を手軽に導入できます。SALES ACADEMYは、新入社員研修で高く評価されています。まずはお気軽にご相談ください。

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