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コラム

新入社員研修は何をすべきか|定番のテーマや効果性アップのポイント、失例と対処法を解説

新入社員研修で何をすべきかは、企業の育成・研修担当者の悩みどころではないでしょうか。業界によって、また企業の成長ステージやビジョン、新入社員の経験値など、多くの要素で最適な研修内容は変わります。 さらに近年は人材の多様化やITツールの発展により、研修手法の選択肢も増えてきました。新入社員研修のプログラム構築は、かつてないほど難しくなっているといって良いでしょう。 ただ、時代が変わっても、ビジネスパーソンが習得すべき基本は普遍です。 今回は新入社員研修で何をすべきか悩む担当者に向けて、ぜひ扱っておきたい定番の内容を解説します。あわせて、新入社員研修の効果を高めるポイントや、よくある失敗例と対策もまとめました。 次の新入社員研修から活用できる内容が満載です。早速チェックし、自社の新入社員研修に活かしてください。

新入社員研修の目的

新入社員研修の主要な目的は、新入社員の意識改革と実務の理解浸透です。 意識改革は、新卒の新入社員に対して、特に重要度が高い目的です。学生生活を終え、社会人となって貢献と価値創造に邁進する、そのマインドセットを行います。また、中途採用者を対象とした新入社員研修は、彼らが新しい職場に適応するための、気持ちの切り替え期間となります。 仕事内容の理解、実務に必要なスキルの習得も新入社員研修の大切な目的です。企業理念や方針の伝授や、働く上で知っておくべき事項の理解と習熟も、大切な研修プログラムとなります。

新入社員研修の設計手順

新入社員研修は、何を・どのような順番で作っていけば良いでしょうか。新入社員研修を設計する手順を解説します。

(1) 新入社員の現状・スキルを確認する

「新入社員」と一括りにしても、一人ひとり状況は異なります。学生時代にインターンやアルバイトなどを経験しており、即戦力に近いスキルを持つ人もいるでしょう。中途採用者も、前職が同業種か異業種かで、経験値が大きく異なります。 できるだけ多くの新入社員に適した研修にするため、まずは受講者の現状把握から始めてください。受講者の能力値を正しく把握できるほど、新入社員研修で実施すべき内容が見えてきます。

(2) 新入社員研修の目的を確認し、ゴールを設定する

次に、新入社員研修の目的・ゴールの設定に移ります。目的やゴールは、人事部や研修実施チームの独断で決めてはいけません。新入社員が研修後に配属される部署の長や経営陣に相談した上で、決定します。 部門長や経営陣にヒアリングしておくべき内容は、以下です。
  • 研修終了後にどのような姿になっていてほしいか
  • 半年後、1年後までの成長曲線をどのように想定しているか
  • 現場に配属された折には、どのようなスキルを習得していることが望ましいか

(3) 新入社員研修の日程を決定する

新入社員研修の実施日程は、企業の業務計画やスケジュールを考慮して決めます。一般的には1~2週間の研修を経て現場配属とする企業が多く見られますが、中には1か月かけて研修し、ゴールデンウィーク明けに現場に配属する企業もあります。 新入社員研修の日程や期間も、会社の計画に則り考案してください。研修期間は、長すぎると中だるみしやすくなり、短すぎるとスキル習得が不十分になります。必要に応じて部門長や経営陣に相談しながら、研修日程を決定します。

(4) 新入社員研修のやり方(手法)を決定する

策定した目的・ゴールを達成するために、最適な手法を選定します。 たとえば、電話応対や営業先への訪問マナーなどは、研修者同士が相対して行うロールプレイング形式が適しています。企業理念やビジョンを伝える座学であれば、Web会議アプリを使ったオンライン形式でも実施可能でしょう。 以下は、新入社員研修の手法の一例です。次項で解説するプログラムの決定と合わせて、最適な実施形態や手法を選択しましょう。 〈新入社員研修の手法の一例〉
  • 座学
  • グループワーク
  • ディスカッション
  • OJT
  • ロールプレイ
  • ケーススタディ
  • レクリエーション、ゲーム など

(5) 新入社員研修のプログラムを決定する

新入社員研修の目的・ゴールと実施日程を踏まえ、研修の全体プログラムを考案します。「いつまでに・何を・どのようなやり方で」指導するのか、詳細に設計していきましょう。 このとき、指導者から受講者への一方通行にならないよう、注意します。研修項目ごと、半日ごとなど、折々に受講者の理解度を確認し、疑問点を解消する時間を設けてください。 また、現場の従業員の協力が必要な研修を実施する場合は、従業員と現場の都合への配慮も大切です。上長を通じて早めに協力を打診し、スケジュールを確保する必要があります。

新入社員研修の定番テーマ7つ

新入社員研修で何をすべきか迷ったときにも活用できる、定番のテーマを7つ紹介します。社会人としての基礎力強化から実務スキルまで、幅広く網羅しました。

企業理念、方針、社風の理解促進

企業理念や方針は、今後業務に当たる際の基盤を構築します。また、新入社員の帰属意識を高め、キャリア形成の指針ともなってくれます。新入社員研修で明確に伝えることで、新入社員の意識を統一し、来たる配属への期待値を高める効果もあります。 〈実施方法の例〉
  • 経営者が、企業理念や方針、ビジョンを語る
  • 自社の創業ストーリーや発展の歴史を学習させる
  • 先輩社員と対話し、理念の実践を学ぶ機会とする

社会人としての心構え

新卒新入社員には、学生から社会人に意識を切り替えるプログラムも実践しましょう。すでに社会人になっている人にとっては暗黙の了解といえる要素も、新卒者にとっては新しい知見であることが多いものです。「社会人なら常識」と片付けてしまわず、大切なことを一つひとつ言語化し、明確に伝えます。 社会人へのマインドセットは、新入社員研修の冒頭に扱うと良いでしょう。社会人に向けてモチベーションを高めるきっかけにもなり、研修の受講意欲向上が期待できます。

基本的なビジネスマナーのトレーニング

ビジネスマナーは、良好な人間関係を構築し、業務を円滑に進めるために欠かせない要素です。新入社員研修では基本的なビジネスマナーを習得させるプログラムを実施し、社会人らしい振る舞いができる人材への育成を目指します。 研修で扱っておきたいビジネスマナー項目には、以下があります。
  • あいさつ
  • 身だしなみ
  • 言葉遣い
  • 電話応対の基本
  • メールの基本
  • 名刺交換
  • 来客対応 など
独自の言い回しや専門用語が飛び交う現場もあるでしょう。社内で一般的に使われる用語やマナーも、新入社員研修で扱っておくと、現場配属後の適応がスムーズに進みます。 オンラインでのやり取りが多い企業であれば、オンラインでのプレゼンテーションやミーティングの基本スキルも取り上げてください。

業務内容と進め方の理解・習得

業務内容と進め方、仕事に取り組む姿勢の習得は、新入社員研修の「肝」ともいえる重要なポイントです。現場にヒアリングし、指導者自身が業務内容と進め方を理解した上で、研修内容に落とし込みましょう。 どの現場でも必要となる内容は、次の2つです。
  • PDCA
  • 報連相

PDCA

計画を立てて(P)実践し(D)、評価して(C)改善につなげる(A)一連のプロセスは、社会人としての成長に欠かせないサイクルです。PDCAの考え方を理解させた上で、ディスカッションやグループワークで実践すると、習得が促進されます。あわせて、時間を効率的に使うタイムマネジメントの考え方やスケジュール管理の仕方も伝えると良いでしょう。

報連相

報連相は、効率的な業務遂行やトラブル回避、起きたミスの解決など、多くの場面に欠かせないスキルです。良好な人間関係構築の基盤となり、最終的には企業の業績アップにもつながります。 報連相の目的と具体的なやり方を研修で扱い、現場配属の折には受講者が自力で報連相できる状態を目指すと良いでしょう。また、報連相がうまくいかない事例をケーススタディしながら、改善策を考える取り組みもおすすめです。

注意点

研修の日程は限られています。習得が望ましいスキルの全てを扱うことが難しい場合もあるでしょう。新入社員研修の時間を有効活用するために、重要度と優先度の高い要素から研修内容に組み込む工夫も大切です。

社内コミュニケーション

業務遂行や報連相は、良質なコミュニケーションを土台とします。新入社員研修では社内コミュニケーションの取り方や、コミュニケーションスキルの育成も扱います。 企業内におけるコミュニケーションは、年齢や性別、立場が異なる人との円滑な意思疎通を目的とします。互いを尊重しながら双方向でやり取りすることが求められ、「話す力」「聞く力」の両方が大切です。 また、グローバル化の影響を受け、多様なバックグラウンドを持つ従業員が増えている企業もあるでしょう。異文化理解の仕方や、自分とは異なる価値観を持つ相手とのコミュニケーションの取り方も、現代の新入社員研修には重要なテーマとなってきています。

PCスキルの習得

業務上で習得が必須のPCスキル研修も、定番のテーマです。PCスキルは社会人の基礎力の1つともいえ、キャリア形成にも影響する重要性を持っています。受講者の現状に合わせて、基本的なスキルを学ぶ時間を確保すると良いでしょう。 多くの企業で共通して求められるスキルには、以下のような例があります。
  • タイピングスキル
  • Microsoft Office(Word、Excel、PowerPoint)
  • コミュニケーションツール
コミュニケーションツールとは、テレビ会議アプリやチャットアプリを指します。現場配属後、即使用することになるため、社内で利用されているアプリの使用方法は研修で習得させておくと良いでしょう。

コンプライアンス・セキュリティの理解

コンプライアンスやセキュリティの重要性は、年々増しています。体系だって学習した経験がない受講者も多いと想定されるため、丁寧に扱ってください。 コンプライアンスもセキュリティも、基本概念の理解が重要です。なぜ、重視されているのか、違反するとどのようなペナルティがあるのか、具体例を交えて指導します。 あわせて、社会人として守るべき規範やモラルも、明確に伝えてください。現代は、想定もしていなかったことが火種となり、簡単に炎上し、企業に損害を与える時代です。個人的なSNSも望ましくない使用をしないよう、内容を適切にカスタマイズしながら伝えます。

新入社員研修の効果を高めるポイント

入念に新入社員研修を実施したにも関わらず、「役に立たなかった」「つまらなかった」との感想が寄せられては不本意です。効果の高い新入社員研修にするためには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。 新入社員研修の効果を高めるポイントを解説します。

受講者に「当事者意識」を醸成する

どれほど優れた新入社員研修も、受講者が目的を理解しておらず、他人事と捉えたままでは、効果は期待できません。実りある研修のためには、受講者に当事者意識を持ってもらう働きかけが重要です。 受講者に研修の目的と期待できる成果を分かりやすく伝え、研修へのモチベーションが高まった状態で参加できるよう段取りを進めると良いでしょう。モチベーションは簡単に下がってしまうため、研修実施まで期間がある場合は、くり返し伝えることも重要です。

受講者参加型の研修内容にする

学校の授業を思い出してください。一方的に与えられる講義は面白みに欠け、怠惰だと感じた経験は、誰しもあるのではないでしょうか。 新入社員研修も同じです。一方通行の講義や座学は集中の持続が難しく、途中で飽きたり、寝てしまったりといった結果につながります。研修には受講者が行動しながら参加できる要素を積極的に盛り込み、体験を重視したプログラムにしてみてください。 ロールプレイングやディスカッション、ワークショップなど、脳と身体を動かすコンテンツは、参加意欲を高めます。また、成果をプレゼンテーションしてもらうようにすると、内容理解を促進し、主体性も高められます。

新入社員研修の実施方法をブラッシュアップする

オンラインが市民権を得、利便性や効率を重視する風潮は、止まるところを知りません。新入社員にも、「タイパ」「コスパ」を口にしながら、効率を追求する人材がいることも十分、考えられます。 長らく、新入社員研修といえば、受講者を集めての対面形式が主流でした。対面形式はコミュニケーションが取りやすい、熱意が伝わりやすいなどのメリットがあります。一方で、時間と場所に制約が生まれ、スケジュール調整が難航しやすいデメリットもあります。 テクノロジーが発展し、多様化が重視される現代、新入社員研修の実施方法にもブラッシュアップが求められます。「対面が必須ではない内容はオンラインで実施する」「講義を録画し、オンデマンドで視聴できるようにする」といった、時代に即したやり方も積極的に導入してはいかがでしょうか。 オンライン研修は、受講者にとっての心理的負担を軽減できるメリットもあります。受講者の利便性に配慮してくれていると好意的に受け止める人もおり、帰属意識が高まる副次的な効果も見込めます。

新入社員の成長に応じて追加研修を実施する

新入社員研修は、入社直後の人材を対象に、業務の基本を習得させる短期間のトレーニングを指します。新入社員研修が完了した人材は現場に配属され、現場で業務遂行能力を高めていくことになります。 さて、新入社員研修は、入社直後に実施すれば十分でしょうか。答えは、否です。新入社員が企業文化や職場に慣れるには時間がかかります。彼らが安心して業務に携われるようになるまで、長い目で見たサポートが大切です。 新入社員の成長を支え、自社への定着率を高めるため、折々に追加の研修も実施していきましょう。OJTと組み合わせ、実践と紐づけた理論やスキルの習得は、新入社員の不安を解消し、業務へのモチベーション向上につながります。

新入社員研修でよくある失敗例と対策

新入社員研修でありがちな失敗例と、対策案を解説します。自社でこれまでに実施してきた新入社員研修も振り返りながら、より良い新入社員研修を創り上げるヒントを見つけていきましょう。

新入社員研修のプログラムを詰め込み過ぎた

新入社員研修にプログラムを詰め込みすぎ、受講者が消化不良に陥る現象は、多くの企業で見られる失敗です。右も左も分からない新入社員に、短期間で業務の全てを教えようとしたときに起こります。詰め込み過ぎは受講者にも、そして指導者にもストレスとなり、混乱を引き起こしかねません。 研修プログラムの肥大化を防止するためには、内容の優先順位付けが重要です。研修の目的とゴール、日程を客観的に踏まえ、「今回の研修で必ず網羅する内容」からプログラム化してください。配属後、即必要となる知識・スキル以外の要素は、段階的に習得できるよう、別の研修を用意するのも良い方法です。

受講者の習得に個人差が生じた

新入社員研修の習得には、個人差が生じます。ただ、この差を放置すると、理解が速い新入社員研修は退屈し、反対に遅れがちな新入社員には焦燥感や意欲低下を引き起こすおそれがあります。 新入社員同士でも、既知の業界知識や理解度、経験値には必ず差があります。研修は、個人差が生じるとの前提で構成することが重要です。 あわせて、一人ひとりの理解度や習熟度に応じて、個別フォローを実践できる体制を整えると良いでしょう。状況に応じて柔軟に補足説明や追加課題を提供すると、全体の理解度を揃えていけます。

研修できる人材がいない

新入社員研修を実施したくとも、指導できる人材が社内にいないとの課題に直面する企業も、少なくありません。人材不足には、3つの側面があります。
  • 人手不足で、リソースを研修に回せない
  • 属人化が進み、業務が体系だっていない
  • 教育文化がなく、育成スキルを持つ人材がいない
こうした問題は、一朝一夕には解決できません。業務を整理して体系立て、教育スキルを持つ人材を育成するためには、少なくとも数年のスパンが必要です。 研修できる人材不足という課題には、新入社員研修のアウトソーシングがおすすめです。研修を専門に手掛けるサービスに依頼すれば、質の高い研修を速やかに導入できます。
〈Tips〉新入社員研修の外注なら、SALES ACADEMYにご相談ください! SALES ACADEMYは、新人教育・育成のプロ集団です。多様な業種・業界の研修に携わった知見を存分に生かしながら、御社に必要な研修を質高く提供します。 SALES ACADEMYのモットーは、“甘やかさない”令和式の新入社員研修。これまで、数多くの大手企業での実施実績もあります。まずはお気軽にお問い合わせください。 お問い合わせ・ご相談はこちらから

まとめ

「新入社員研修で何をすべきか」、この問いへの答えは、目的とゴールが示します。まずは、何のために研修を実施し、どのような成果を得たいのか言語化しましょう。その上で、内容の具体化に入ると、狙い通りの新入社員研修を構築できます。 内容の充実とともに、受講者の主体性醸成やフォローアップ体制の構築も、重要なミッションです。「研修のやりっぱなし」にならないように、新入社員の成長・定着まで見守る計画を立ててください。 研修に関する課題や悩みは、新入社員研修を専門に手掛けるSALES ACADEMYが対応します。ビジネスマナーから営業スキルの習得、自己成長のための研修まで、あらゆる研修を実施するSALES ACADEMYにご相談ください。
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