最近の新卒社員「5つの傾向」

毎年700回以上の研修を行っているセールスアカデミーの代表宮脇が、数多くの新入社員の教育・育成を行ってきた中で見つけ出した「最近の新卒社員の5つの傾向」について、実際にあった事例を交えながら解説します。

■概要

■最近の新卒社員「5つの傾向」

1.我慢できない

2.人前で叱られることに慣れていない

3.納得しないと動かない

4.責任を果たす前に権利主張する

5.同期と仲が良い

 

■対談内容

株式会社カウテレビジョン 高橋康徳社長

株式会社セールスアカデミー 代表取締役 宮脇伸二

 

高橋社長:

今回は最近の新卒社員、この令和の時代の新卒社員の5つの傾向をまとめていただきました。その内容がこちらです。1つ目:我慢できない、2つ目:人前で叱られることに慣れていない、3つ目:納得しないと動かない、4つ目:責任を果たす前に権利主張する、5つ目:同期と仲が良い、この5つのポイントの解説をお願いします。

 

宮脇:

はい、まずこの我慢できないということですけれども、私達は新入社員研修を朝9時から夕方5時半までやるんですが、この令和に入ってびっくりしましたのが、研修中、講義中に受講者が手を上げて「先生、お手洗いに行っていいですか?」ということでトイレに行く人が続出したんですね。これは過去、平成時代にはなかったことなんです。

 

高橋社長:

長い時間やっていて、トイレに行く時間もないということではないんですよね?

 

宮脇:

ではなく、1時間に10分間休憩を取り、昼12時から1時まで休憩を取るわけなんです。こういった風に、一つの象徴的な出来事なんですが、我慢しなくていいんだ、あるいは我慢すること自体をそもそも経験していない新人が多いという風に思います。

 

高橋社長:

なるほど。

 

宮脇:

2つ目ですが、人前で叱られることに慣れていません。元々叱られ慣れてない方が多いんですけれども、私達の新入社員研修では、受講者がたとえば30人いたとして、前に出てきてもらって、ロールプレイングをしたりします。私をお客様役にして、私に営業をしてもらうようなロールプレイングです。そしてロールプレイングが終わったら、全員の前で良かった点と改善点を伝えるわけですけれども、ある新人があまりに応対がひどかったので、「あなたこのままだとまったく成果が出ませんよ」と、「このへんが良くない」というのを、はっきり伝えました。そうしたところ別の受講者が「そんなに批判しないでください」といったように攻撃してきたわけですね。これは何なのかなと言うと、やはり人前で叱られていることに慣れていなく、人前で叱られている人に「なんか可哀想だ」とか、あるいは「自分も次、みんなの前で叱られたら嫌だなあ」という防衛反応が出たんじゃないかと思います。

 

高橋社長:

なるほど。人前ではなく1対1で叱ると。

 

宮脇:

そうですね。ですからできれば1対1で呼んで叱っていく方が、本人も受け入れやすいのかなという風に思います。

 

高橋社長:

なるほど。

 

宮脇:

3つめは納得しないと動かないということで、最近の新卒の方は、やはり知識が豊富です。ですから上司からこういう風にやってとか、こういう方針でやろうと言われたときに、自分なりに考えて「あれ、なんか違うんじゃないかな」「なんか納得いかないな」ということで、動かない、あるいは第一歩が遅くなる人がいます。

ここで気をつけていただきたいのが、ありがちなのが、納得させようと色々な目的とか意義とか、そういったことを伝る上司がいるのですけれども、それもまあ悪くはないのですが、納得しないと動かないような新人が量産されてしまいますから、ときには「とにかくこの通りにやれ」という風に力強く言うことも必要だったりいたします。

 

高橋社長:

なるほど。納得させてもらわないと、やらなくていいんだと思っちゃうと。

 

宮脇:

そういう誤解が生まれてしまいます。4つ目は責任を果たす前に権利主張するということで、たとえば営業職であれば、受注をして、そして場合によっては歩合制で給与が上がると、結果を出してから権利がさらに行使できるという順番なんですが、まったく結果を、1件も1円も稼いでいないのに、歩合給の交渉をたくさんしたりとか、そういったような主張をする方が増えてきています。従いまして上司としては、やはりビジネスは結果が重要だと、あるいは責任と権限、これらは対であるということで、まず責任を果たさないとダメだということを伝えていく必要があるのかなと思います。

 

高橋社長:

なるほど。

 

宮脇:

最後に同期が仲が良いということで、これはいい面もちょっと悪い面もあります。いい面であれば、たとえば仕事で悩んだときに、同期に相談をする、あるいはうまくいったことを、「私こんな感じでうまくいったよ」ということで共有できますから、これはすごくいいところです。あまり良くないなと感じることは、一人でできる仕事を、同期一緒に仲良く二人、三人でやるということです。仕事のクオリティ、あるいは生産性は同じなのに、一人でできる仕事を二人、三人でやるということは生産性が2分の1や3分の1になってしまいます。このあたりは気をつけて見ておかないといけないんじゃないかと思います。

 

高橋社長:

仲良しこよしになって、一人でできることをつるんでやってしまうと。結果、2分の1、3分の1になることも。たしかにそういうシーンがあるような気もしますね。この5つのポイントをふまえて、我々経営者や上司が何か心がけてるべきことをちょっとまとめていただいて。

 

宮脇:

そうですね。まずはこういった傾向があるということ、そして経営者や上司の世代とは違うという、その差をしっかりと理解することと、それからこういったことを少しずつ教えていく、特に入社直後、あるいは前後、初期段階で我慢できない新人がいても、少しずつ我慢できるように育成してあげたり。叱られ慣れていないとは思うんですけれども、「仕事だから叱られることもあるよ」と。「それは社内だけじゃなくてお客様から叱られることもある」と。そして納得しないと動かないこともわかるけれど、「納得しなくても動かないといけないこともあるんだ」と、組織として。そして「責任を果たす前に権利主張するのではなく、まず責任を果たしなさい。結果を出そう。その上で権利を主張しようじゃないか。」そして同期と仲が良い、これは大切にしようと。一人でできることは一人でやろうということを、初期の段階で教えてあげるのが大切だと思います。

 

高橋社長:

なるほど。今回は最近の新入社員の5つの傾向を教えていただきました。宮脇社長、ありがとうございました。

 

宮脇:

ありがとうございました。

 

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